夏休みに一時帰国した主人公は、23歳の誕生日に自身が性的少数者であると家族に告白する。突然の告白を受けとめられず拒絶の母、沈黙の父。その反応に主人公は失望するが、家族の協力のもと己の告白についての映画をつくりはじめる。映画制作を通し、各々が自己を演じ、その言動を追体験するなかで、無きものになりつつあった告白が再び家族の前に提示される。『サタンタンゴ』のタル・ベーラ監督が激賞し、映画学校film.factory入学のきっかけとなった。劇場初公開。
なら国際映画祭2011 NARA-wave部門観客賞
作品データ | 38分/ 2010年 |
小田の生まれ故郷である日本で撮影した私的な映像とサラエボのフィルムスクールで学んだ3年間の授業の中で撮影した未使用のフッテージを使用し、性の問題を抱える人々、国境を越えての対話、貧しさや労働についてなど、力強いカメラワークとともにドキュメンタリー映画の本質を問うパーソナルな作品。日本初公開。
ライプティヒ国際ドキュメンタリー&アニメーション映画祭2017正式出品
作品データ | 63分/2017年 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボ近郊、100年の歴史あるブレザ炭鉱。地下300メートルには、一筋のヘッドランプの光と闇に蠢く男たち、爆音で鳴り続ける採掘重機と歯車、そしてツルハシの響き。死と隣り合わせのこの場所で、人は何を想い、肉体を酷使するのか。小田は単身カメラを手に地下世界をひたすら見つめる。世界中の映画祭で衝撃を持って迎えられた小田監督の代表作。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 アジア千波万波部門特別賞
リスボン国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品
マル・デル・プラタ国際映画祭2015正式出品
台湾国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品
作品データ | 68分/2015年 |
監修 | タル・ベーラ |
少女があやとりをしながらバスを待っている。バスは停車する度にひとり、またひとりと乗客を迎え、松明の灯る終着点に辿り着く。京都花背で行われるお盆の火祭り「松上げ」を背景に、彼岸と此岸を少女たちの手が結ぶ。
デビュー作『ノイズが言うには』のあと、小田監督が唯一脚本を書き制作した作品。
作品データ | 13分/ 2012年 |
牛飼い、羊、風、あらゆる生きものが等しく在るように感じられる村。死と生はわけられない。メリーゴーランドに乗って、隣人の手をとり踊ろう。film.factoryに参加するために日本からボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボに移った小田はカメラと小さなボスニア語辞典だけもってウモリャニというボスニアの村を記録する。
作品データ | 19分/ 2014年 |
監修 | タル・ベーラ |
サラエボからザグレブまで行く長距離列車の車窓から見える異国の景色を見ながら、なぜか懐かしい気持ちになり、ふと、じぶんの思い出せる限り一番はじめの記憶はなんだろうという疑問が湧いた。思い出せるようで思い出すことのできない始まりの記憶を巡る列車の旅。
作品データ | 25分/ 2015年 |
ゲーテは自然を愛し、環境の整った実験室で分析された光(学)からは距離をとった。「色彩というのは眼という感覚に対する自然の規則的な現象」だと彼は言う。
彼が眼というとき、それは網膜の情報処理のことではない。眼で感じるというのは、光が我々の持つ記憶を通過し、情景を生み出すことではないだろうか。光と闇が我々の個人史を通り抜け、幾千の淡いとなり、色彩として現れるのではないだろうか。16mm白黒フィルムで撮影。
作品データ | 6分/ 2017年 |
神戸・六甲にある安藤忠雄建築『風の教会』リニューアルオープンに向けて行われた修復工事を記録。コンクリートを侵食した黴や苔が廃教会となっていた時間の長さを告げる。閉じられていた扉が開かれるとき、止まっていた時間が再び動き出す。
作品データ | 12分 / 2018年 |
大阪の水路を巡る「梅田哲也/hyslom 船・2017」に研究員として参加した際に撮影した素材と、翌年のクルーズ船ツアーで撮影した素材を合わせひとつの作品にした。魅惑的な夜の河に、揺らめく水と光。
作品データ | 7分 / 2019年 |