気軽に繋がれるようになった現代。
それでも私たちはどこかで、繋がりきれない想いを抱えながら生きている。
本作では、3名の監督それぞれの目線から、「孤独な夜」とも言える閉塞感のある現代社会で、もがきながら生きる、理解されづらい人たちを描いた。
孤独とは、他者から理解されないからこそ、”孤独” なのだ。
しかしながら、他者の孤独を知ることで、自分が抱える孤独を見つめ直すことができる。
そう信じ、孤独な夜明けを待つ人たちに、この物語を届けたい。
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大学生の瞳は、無責任な父と仕事に追われる母との間に溝が広がっていくのをただ見守るしかできないでいた。
幼馴染の友唯と公園で時間を潰す日々の中、家族の溝はもう修復出来ない程に広がってしまう。
そんな状況から逃げるように東京に向かった瞳は、自分と同じ感情に縛られる果子と出会う。
人は生まれながらにして大切な人を想い、祈る行為を本能的に知るというが、故に無意識的な家族愛を重圧に感じる人もいるのではないだろうか。
実体験を交えながら、最も身近な存在である家族との関係に孤独を感じ、一般的な家族の在り方に抗いながらも執着する人物を描く。
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〝私〟 は自分の外見が毎日変わっていることに気が付くが、周囲は誰もそのことに関心を払わない。
誰にも相談できずにいた〝私〟は、勤め先の喫茶店に毎日来ている小説家の男に打ち明け、男と共に本来の自分の姿を探しはじめることにするが…。
SNS上の不確かな情報を日々摂取する現代の私たちは、簡単にアイデンティティ・クライシスに陥る。
人間とは情報の集積物に過ぎないからだ。近代が思い描いた〝確固たる自我〟は幻想でしかなく、その空虚さが顕になった今、私たちは他者から孤独であるばかりでなく自分自身からも孤独なのだ。
多くの人が〝私〟に迷う現代に、自我を問い直す。
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有観客舞台を数日終え、こなれてきた出演者たち。オンライン配信日の舞台で事件は起きる。
いつもどおりの芝居を終え、舞台終盤に差し掛かったところで、主役の四葉は突然、台本に無いセリフをスラスラと話し出す。
あまりにも突然の出来事に驚きを隠せない共演者のエリカと穂。
なんとか台本の筋書きに話を戻そうというエリカの努力も虚しく、物語は台本と全く異なる道を進み始める。
なぜ観客は演技と分かっていながらも、目の前の芝居に心を奪われるのか。
それは観客が物語や劇中の役柄だけではなく、孤独に役と向き合う役者自身の狂気性にも魅力を感じているのではないか。
芝居ではないと思っていたものが芝居だと分かったとき初めてその命題にたどり着く、13分ノンストップのワンカットサスペンス。
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ひとつ屋根の下で暮らす悠介と有紗。
悠介は非正規で整体師として働き、有紗は塾講師として忙しい毎日を送っている。
長年付き合っているものの、互いに結婚という決断に至ることができない2人は、〝妊娠〟が結婚へのステップだと感じていた。
そんなある日、悠介の夢に一人の少女が現れるようになる。
彼は夢の中で少女と過ごす中で何かを感じ、本当に大切なものに気づいていく…。
共に暮らしながらも日々のすれ違いから独りよがりな孤独を抱え、結婚することができない一組の男女を描く。
男の深層心理を表す夢をモチーフとして取り入れ、現実世界で相手の心に踏み込むことができない消極的な男の姿勢を〝動線〟 で表現した挑戦的作品。
作品データ | 2022年/日本/カラー/105分 |
配給 | フォーズン |
上映期間 | 3/29(土)~4/4(金) |
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上映時間 | 17:35 |
当日料金 | 一般:1,800円/大学・高校:1,500円/シニア:1,200円/障がい者・同伴者(1名まで):各1,000円 |
特別鑑賞券 | 1400円 3/28(金)まで販売 ※WEB予約ではご利用いただけません。 |