1947年、戦後の横須賀に日本人の母と外国人の父との間に生まれた木川洋子(Yoko)は、当時の過酷な状況下、養子縁組でアメリカへと渡り母との離別を余儀なくされた。母はどのように生きたのか、SNSをきっかけに彼女のルーツ探しがはじまり、横須賀~アメリカ~八王子を辿る映画には、奇跡的ともいえる出会いが描かれている。
監督= 木川剛志/2021年/106分
マニラ有数の観光地でホームレスの寝床でもあるベイウォーク。作者はそこで眠る一人の日本人と出会った。事業の失敗で全てを失い何年もここにいると言う男を撮影する一方、第二の人生を求め高層マンションを購入したもう一人の日本人にもカメラを向け始めるが…。マニラの喧騒に流れ着いた男たちの、葛藤のルポルタージュ。
監督= 粂田剛/2021年/90分
幼少期から思春期まで13年にわたり、出稼ぎに行った両親と離れブラジルで暮らしたマルコスと妹2人。子供たちの教育費を捻出するための出稼ぎだったにもかかわらず、空白の時間は「子供達との絆」を失わせてしまった。家族の絆を築き直そうと奮闘する日系ブラジル人家庭の悲喜こもごもの日常を描くセルフドキュメンタリー。
監督= マルコス・ヨシ/2021年/105分
ベラルーシに生まれ、フランスを拠点とするコズロフ監督は北方領土・国後島を訪れ、その現状を見つめる。日本人が残した生活用具を掘り起こす男をはじめ、国境政策に翻弄された住民たちの生活は決して安泰とは言えないながらも、海の雄大さをはじめ自然の美しさを見逃さない監督のまなざしには、不思議と暖かさも感じられる。
監督=ウラジーミル・コズロフ/日本語版2021年/71分
※【本作品は料金が異なります】
一般:1,800円/大学・高校:1,500円/シニア・障がい者:1,000円
(1回券・3回券は利用可能)
今は亡き原田芳雄が10年前に大鹿歌舞伎を知らしめた大鹿村はリニア工事により自然環境が危機に瀕していた。偶然の出会いから大鹿村を知った監督は前半ではイギリス人の暮らし方を中心に魅力的に描き、後半ではスローガン「リニアは理に合わない」に沿った住民運動を映し出す。題名に大鹿村に吹く風と今後への願いを込めた渾身の作品。
監督= 金明允(キム・ミョンユン)/2021年/87分
LGBTQ、マイノリティとひとくくりにされる人たちに、本当のとこを聞いてみたい。インティマシー・コーディネーターの西山ももこは8月の10日間、僧侶でメイクアップアーティストの西村宏堂、ドラァグクイーンのビビー・ジェローデルら9人と対話する。9人の自分自身「であること」を見つめ、十人十色な人の生へと迫る作品。
監督= 和田萌/2020年/94分
与那国島の久部良集落にイタリアからのクルーが入り、中学校の生徒たちを撮影したダイレクト・シネマ。島には高校がなく、卒業すれば沖縄や内地に進学することに。揺れる思春期の生徒たちの姿を、授業、部活、放課後の遊び、本音が漏れる会話を美しい構図で撮る。島の方言も失われつつあり、国境の島の現在が伝わってくる好編。
監督= A・ハムゼヒアン、V・モルタロッティ/2021年/77分
アフリカ諸国やアジアを舞台に、文化人類学者の清水貴夫と農学者の田中樹のフィールドワークから始まるロードムービー。学者としてのまなざしはいつしか撮影者や東京でモニターを見つめる編集者の目線と多重層的に交わり、世界の複合性を織り成す。雄大な自然のロングショットや現地の何気ない生活風景が心地よく流れる。
監督= 澤崎賢一/2021年/124分
伝統産業のせっけん製造が有名な、シリア・アレッポでせっけん工場を経営していたカダハ家。しかし、アラブの春を端緒とする戦闘の拡大で、一家は国境を越えての移動を余儀なくされる。国境を越えてなおトルコで続けられる一家のせっけん作りの営みに、彼らの日々の想いが切実に、丁寧に織り交ぜられる渾身のドキュメンタリー。
監督= 八島輝京/2021年/131分
コロナ禍の状況にあって、役者は何をおもうのか。12人の役者がスマートフォンを手に、表現者として生きることの葛藤、意志を自ら撮影した映像の数々が、一本の映画へと織りなされる。彼女彼らの日々は現実なのか虚構なのか。短編劇映画をも本編に収め、コロナ禍の状況に対峙する役者たちの現在、リアルを炙りだす意欲作。
監督= 松本動/2021年/119分
日本という異文化を生きる人達を撮った3本。
東京の朝鮮学校の学芸会に密着し、アイデンティティの問題に迫る。
監督= 藏岡登志美/2020年/20分
旧ユーゴ出身の不法移民が入管局による収容を経て、人々の助けを受ける。
監督= 岩崎祐/2021年/27分
岐阜県の工場で派遣切りにあったブラジル人一家に、次々と試練が襲いかかる。
監督=若尾泰之/2020年/47分
いのちが限られた中、どのように大切な人との関係を結ぶか。
長くは生きられない難病を抱えた新生児の両親が、在宅医療を選択する過程を描く。彼らが生活の中で見つけたかけがえのないものとは。
監督= 笹谷有佳里、西原英典/2021年/52分
高齢の終末医療患者と、仕事を持たずに家にこもり続ける息子の関係の変化を描く。
監督= 下村幸子/2021年/59分
コロナ禍で生き方を模索する人々を追った2本。
活動休止を余儀なくされた宇都宮の小劇場とアーティストたちの姿から、いま表現することの意味を問いかける
監督= 鈴木智/2021年/35分
2020年に発令された緊急事態宣言中の東京にカメラを向け、〈夜の街〉や生活困窮者たちの叫びを記録した。
監督= 松井至、内山直樹、久保田徹/2020年/49分
映像表現と身体表現の邂逅が生み出す表現の可能性がここにある。
歴史的な街リムリックでの詩的で視覚的なポートレート。
監督=ヘイケ・セルザー&アナ・ベーア/2020年/3分
音楽と身体の関係を考察する。
監督=マリアナ・パラシオス/2020年/12分
知床で新たな音を探し求める音楽家を追う。
監督=今野裕一郎/2021年/48分
大駱駝艦で活躍する奇才と映像作家による幻想譚。
監督=梁鐘譽&アトム/2021年/44分
戦前、墜落死という最期を迎えた朝鮮人女性民間パイロットの生を韓国人女子大学生が辿った。
監督=李有斌/2021年/28分
「特攻の地・知覧」の片隅に建つ、かつての敵国兵士を悼む慰霊碑を巡る物語を追う。
監督=佐藤仁紀/2021年/30分
戦中期の蜂起事件や今日の労働者を闇という視点から連ねて描いたシネ・エッセイ。
監督=吉田真也/2020年/28分
家族の数だけ、多様な表現のかたちがある。
実の両親へカメラを意識させながら撮影することで見えてくる、ささやかな日常の愛おしさを反芻する。
監督=市川昂一郎/2020年/44分
旧残留日本兵だった父と、ベトナム系タイ人の母との間に「トオイ」としてタイで生まれ、やがて日本で写真家となった瀬戸正人がかつての記憶を探る。
監督=小林紀晴/2021年/63分
中国の街で深夜の牛乳配達に励む男の誇りと呟き。「タイタニック号」の模型ばかりを作り続けるマニアの鮮やかな手さばき。周囲の人々に支えられ、ボクシングやダンスに挑戦するダウン症青年の奮闘。地方都市で守り続けた書店を畳む老店主の書や街への思い…それぞれの居場所から聞こえてくる、人間の息づかいを記録した4本。
監督=陳鵬瑞(チン・ホウズイ)/2020年/7分
監督=ダン・パークス/2021年/10分
監督=福田みなみ 2021年/29分
監督=若泉政人/2021年/63分
瀬戸内の火の祭から想起する人間の原始、山道を歩く老人の背中を追うワンショットのカメラ、パンデミックで航路を失った人々を導く羅針盤。異国で30歳を前に揺らぐアイデンティティ、激動の2020年に自己を見つめる私と家族の唄、朽ちた場所から匂う往時の気配。日本のみならずアジア各国から届いた、独自の作風が際立つ作品の数々。
監督=七里圭/2021年/8分
監督=ジョイス・ラム/2020年/11分
監督=村岡由梨/2020年/11分
監督=山川智輝/2021年/12分
監督=ジン・ジャン/2020年/24分
監督=ヨハン・ジャン/2020年/47分
アイヌというルーツと向き合う女性の思いや、作り手との交流を描いた2本。
アイヌ料理店を切り盛りする女性の暮らしに寄り添い、何気ない所で受けてきたこれまでの差別への葛藤を聞く。
監督=広瀬久美子/2021年/25分
阿寒湖畔で観光用の舞踊を踊る踊り子との意識の溝を、監督が身体表現を使って埋めることを試みる。
監督=酒井直之/2021年/41分
土地の歴史と現在を問う2作。
かつてインド独立運動の象徴ともなった手紡ぎ・手織り布カディ、その意義とともに共同体を生きる一人一人の個性を映し出す。
監督=小谷野五王/2021年/21分
クルド語が禁じられてきたトルコにおいて母語のクルド語で歌い続けた語り部・歌い手。今日本でも紡がれるクルド人の新たな物語を追う。
監督=中島夏樹/2021年/60分
高校生が制作した2本の新鮮なドキュメンタリーを特別上映。
ミックスの二人が、学校や日常での葛藤を共有しながら創作に励む姿を描いた。
監督=三浦アーク、江藤まや/2021年/15分
教員の頭髪指導強化に危機感を抱いた都立高校の生徒たちが、スクールカラーの「自由」について、OBや教員に広く話を聞き、考察する意欲作。
監督=中村眞大/2021年/76分
美術工芸の名人芸に迫るだけでなく、真摯に向きあう職人の姿をイメージに焼きつけた至極の2編。
千葉県千倉町においてうちわの制作過程を記録した映像を、兄が弟に見せる劇中劇に仕立てあげた伝説の民俗誌映画。
監督=宮本馨太郎/1930年/12分
沖縄県瀬底島で、唯一の作り手となった大城善雄の笠づくりと生活を記録した。
監督=城間あさみ/2021年/92分
南米ペルーのアンデス高地で牧畜を営むスーパ・ライメ一家。親子6人、リャマとアルパカ200頭、羊15頭、ニワトリ5羽、馬とロバ。ある日、一家はふもとの村に移住することになるが…。PFFなどで高く評価される藤川監督が、およそ一年半にわたって遊牧民の営みを記録。美しいロングテイクが観る者を南米の時空へいざなう。
監督= 藤川史人/2020年/103分
宮崎県の奥日向にある銀鏡の里。農家の人たちは柚子や唐辛子を育て、加工までを担っている。過疎化の波にさらされながらも、森に住む動物たちや山の恵みを感じる土地。年に一度、神聖なる自然と人間が一体になるのが、銀鏡神社に古くから伝わる「星の神楽」。そのために舞を稽古し、祭りを準備する人たちの姿を丁寧に描く。
監督= 赤阪友昭/2021年/113分
辺境地域にも押しよせる現代文明によって失われる伝統文化と、自らのエスニシティを守り、受け継ぐ人びとの姿を映しだす2作品。
伝統的な土葬の儀礼をおこない、古老から若者へ言語や文化が継承されるさまを記録した。
監督=藤野知明/2021年/64分
カレン族が暮らすタイの山村で伝統が失われ、観光化が進む現在を見つめる。
監督=白井樹/2020年/46分
映像人類学がフィールドでとらえた祭祀を紹介する。
エチオピアの少女たちが華やかな衣装で着飾り、喜捨をもとめて歌い踊る風習を撮った。
監督=川瀬慈/2020年/38分
ウズベキスタンのムスリム女性が楽しむ春の祝祭を記録した。
監督=I・メリコズィエフ/2021年/23分
マダガスカルの漁村でおこなわれる憑依儀礼を、ひとりの霊媒の男に焦点をあてて描く。
監督=飯田卓/2021年/48分
韓国には、独身で亡くなった男と女を死後に結婚させる風習がある。本作では、遠洋漁業で死んだ34歳の男と、失恋で自殺をした27歳の女性を、金石出というムーダンが冥界婚させる。シャーマンが口寄せし、男性の霊が従兄に憑依して自己の死の詳細を語るシーンは圧巻。死者と生者の感情が交錯し、哭きと恨のめくるめく世界が現出する。
監督= 北村皆雄/2018年/104分
精霊と人との交信を描く5本。
樺太先住民のシャーマンを撮った
監督= 宮本馨太郎/1938年/18分
タンザニアの女性が呪術師になる過程を記録した
監督= 松永由佳/2021年/8分
ネパールの秘祭と精霊が宿る供物に迫る
監督= 山上亜紀/2021年/18分
青年たちが動物霊に憑依されて失神する
監督= 金子遊/2021年/15分
カリブ海のガリフナ人の祭儀を撮った記録
監督= 冨田晃/2021年/39分
■主 催:neoneo編集室
■後援:一般財団法人 宮本記念財団
■協賛:アジアンドキュメンタリーズ、エトノスシネマ
■助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、芸術文化振興基金
■twitter:@TDFF_neoneo
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■主催お問い合わせ: tdff.neoneo@gmail.com
上映期間 | 12/11(土)~12/17(金) |
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上映時間 | 作品案内参照 |
当日料金 | 一般・大学・高校:1,500円/シニア・障がい者:1,000円 |
備考 | ※長編④『クナシリ』のみ 一般:1,800円/大学・高校:1,500円/シニア・障がい者:1,000円 (1回券・3回券は利用可能) |